1on1とは、マネージャーと部下が1対1で面談する活動です。2人のマネージャーと1人の部下が面談する、2on1という形式もあります。
1on1は部下のために行う活動です。組織のパフォーマンスを最大化する責務を負っているマネージャーが、部下を「①. 短期的には仕事のコミットを高め」「②. 長期的には成長を促す」ために実施する活動です。
前者は「コーチング」や「フィードバック」と呼ばれる手法、後者は「経験学習」が主流の手法になります。
1on1ではどんなコミュニケーションが望ましいか?
1on1は、部下が得た経験、そこから得られた意見を引き出し「次の行動」を促すためのコミュニケーションです。大きく分けると3つのタイプのコミュニケーションがあります。
「①.コーチング」は、部下への質問を繰り返す中で、課題・問題に対する答え、経験から得られた学びを引き出すコミュニケーションです。社員の能力や才能を重んじた性善説な組織の中では、基本的にこの方法を選びます。傾聴が中心のコミュニケーションです。部下自身が持っている資質から、最高のアウトプットを引き出すという点で、2000年代後半から注目を集めたマネジメント手法です。
ただし、例外的にマネージャーから直接答えを伝えることも求められています。例えば、体調が悪いので休みたい場合や、家を引っ越したいなど、会社のルールの決まりごとを伝えたいケース。また、設計書の内容、クライアントと決まったことなど、既に存在する資産について説明が求められているケース。その際に発生するコミュニケーションを「②.ティーチング」といいます。性悪説な組織や、2000年代序盤まで一般化していた「古風な会社」では、課題・問題に対する答えもマネージャーが直接判断し指示することになるため、ティーチングが中心のコミュニケーションとなります。ティーチング全盛期は「いかに効率的に伝えるか」が要となっていました。
会社やチームから、部下がどのような役割を期待されているのか、やってきたことに対してどのような評価がされているのか、どのような目標を目指すべきなのか、といったことを伝える活動を「③.フィードバック」といいます。コーチングとティーチングをバランス良く組み合わせたコミュニケーションです。耳が痛いことであっても、現状に向き合うことを支援すべく伝えます(=ティーチング)。そして、次のアクションを支援します(=コーチング)。
1on1では、これら3つのコミュニケーションを使い分け、部下の業務遂行のパフォーマンスと成長を最大化させます。
1on1でのコーチングの技術
コーチングは、部下に質問を投げかけ続けるコミュニケーションです。これによって、次のアクションを導き出します。
マネージャーは多くの場合、部下の評価を遂行する義務を負っていることが多く、部下にとっては嫌われたくない対象です。上司の意見やアドバイスは「指示」レベルの強い影響力を与える事が多く、アドバイスやちょっとしたコメントでさえも、部下は飲み込もうとしてしまいます。そんな状況下であっても、コーチングにおいては、意思や意見に耳を傾け、課題・問題に対する答えをみつけだしていきます。
- 部下が本当に言いたいことは何か?
- 今どんな気持ちでいるのか?
- 本当はどうしたいと思ってるのか?
など、目の前の部下を理解しようとしながら話を聞くことが求められます。このようなコミュニケーションを実現するためには「信頼関係」が必要です。
以下のようなアクションも、傾聴のテクニックとして有用です。
- アクティブリスニング: うなずいたり、相槌を売ったり、相手が発したキーワードを繰り返す。
- レコグニション: 目の前にいる部下の存在を認め、部下のありのままを受け止める。
部下の思考を止めるのではなく、思考し続けるような質問を投げかけ続ける、これがコーチングにおける対話の基本です。